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住宅本は売れないといわれているが、本書は1999年発刊以来コンスタントに売れ続け、2004年には改訂版が出版されている。 家とは多面的なものである。家の価値は、人それぞれによって違うが、本書は、家の性能は、暑さ、寒さ、空気の質、音の処理をきちんとすることだと主張する。 住宅雑誌には、よくリビングに階段のある家が紹介されている。リビングに階段があれば、子どもは必ずリビングを通って自室にいく。それは、子どもが自室に閉じこもるのを防ぐというような話が書かれている。 著者は間取りよりも、家の性能を問題にする。家の中に不快な温度差がなければ、ドアを開け放しにでき、家族の触れ合いが増す。気密性の低い家でリビングに階段を設けると、暖かい空気は上に逃げて足元が寒くなり、一家団欒どころではなくなる、という。住宅の専門家は、家族社会学者ではないのだから、その専門である家の性能についてまず語るという著者の態度はまっとうである。 では、家の性能は何で確保されるかというと、外断熱工法によるという。家全体を外部から断熱すれば、家の中での温度差が抑えられ、快適さが増すという。外断熱工法が本当にいいものか、私には判断できないが、推奨する建築家、外断熱工法を採用する住宅メーカーが増えていることを見れば、優れた工法なのだろう。
世界に冠たる住宅がない理由 著者は、自然崇拝論や、伝統絶対論にも批判的である。ダイオキシンよりも健康と命を脅かすものは結露やカビ・ダニであり、温度差であるという。自然や伝統をやみくもに賞賛しないのは、科学的態度であると思う。さまざまな工法の欠陥が書いてあるが、批判が具体的なのは好ましい。 日本は暑くて寒くて湿気ていて乾燥している。梅雨、台風、地震、シロアリ対策が必要である。昔の日本人は、日本の四季すべてに対応する家を建てることを諦めて、家は夏に快適であるように建てようとした。しかし、技術は、日本の四季を楽しむことを可能にするはずだ。その技術のスタンダードが外断熱工法なのか、私にはわからない。しかし、専門家の論争と市場の競争が、優れた日本のスタンダードを生むはずだ。世界に冠たる自動車や家電・オーディオ製品を生んだ日本が、世界に冠たる住宅を生んでいないのは、日本の住宅市場になんらかの欠陥があるからに違いない。本書は、そのことを認識させた名書だと思う。 評者 週刊ダイヤモンド 3/26 13号より |
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