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談話室(フォーラム)

「いい家」をつくる会

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 明けましておめでとうございます。
 当サイトをご訪問いただき、とてもうれしく思っています。
 昨年も、多数の読者の方々から「本との出会いに感謝しています」というメッセージをいただきました。
 新年も、皆様の家づくりに役立ちますことを心から願っています。
 さて、〔「いい家」が欲しい。〕は、2月10日で発行以来8年目を迎えます。
 これもひとえに、みなさまのご支援の賜物と、心から御礼申し上げます。


●前田智幸・川井龍介著「体にいい家。悪い家」について
 ところでその間に、数々の「いい家本」が登場しているのですが、そのほとんどが私の本を批判しています。
 その最右翼は、西方里美著〔「外断熱」が危ない!〕というのが大方の見方です。しかし、「住む人の幸せ」という観点を欠いているので、「綿や粉状の断熱材は嫌だ」と思った人には説得力が乏しい本です。
 昨年の7月に、前田智幸・川井龍介著「体にいい家、悪い家」が発行されました。こちらは、一読すると「住む人の幸せ」を願って書かれたように思えます。そこには、こんなことが書かれています。
 
 〔「いい家」が欲しいかと聞かれると「いいえ」と、答えざるを得ません。理由は、科学的な裏づけがあやふやなことと、内容に意図的な偏向を感じるからです。設備屋である私は、理論的、科学的でないととても不愉快になるのです〕。
 
 そして、化学物質を箇条書きし、いかにも松井が勧める家は「化学物質漬け」であり、有害であるかのように主張しています。しかしそれらの主張には科学的な裏づけがないことは、ブログに書いたとおりで2004年の時点で判明しているのです。
 前田氏はこんなことも書いています。
 「この本は、外断熱ブームの火付け役となりました。カネカが大量に買い込み、営業マンに持たせたからだということを担当した編集者から直接聞きました」と。
 それはまったくの偽りです。カネカはそのようなことをしていませんし、「担当した編集者」はいないのです。私がすべて自分で書き、レイアウトから校正までも自分で行い自費出版しましたから。その手伝いを三省堂書店がしてくれたことは事実です。
 前田智幸氏がそんなウソをついてまで松井の家は怖いよ、危ないよと執拗に煽るのには理由があるのです。社長を務める富士環境開発(株)が開発した自然素材を使った断熱ボードと床暖房を売りたいからです。セルローズファイバーを売りたいがために同じような主張を繰り返している自称「断熱屋」こと山本順三氏とそっくりです。前田氏は、中小企業のための雑誌「戦略経営者」の新年号に「真っ正直な商いこそ最上の楽しみ」というタイトルで寄稿しています。言行不一致の手本のような人物が推奨する「体にいい家」とは、住宅業界のご意見番として畏敬されている鵜野日出男さんが、その本質を喝破されています。書評のはじめの部分を紹介しますので、昨年12月25日の私のブログと併せてお読みください。
 
 「情けないと思う。
こんな本が、新潮社という出版社から出版されたことが、嘆かわしい。
日本は自由な国。全ての国民に言論の自由が保障されている。何を考え、何を言おうと自由。秋葉原の電気屋に勤めていた著者は床暖房屋として独立。その経験があるだけで住宅に関しては立派など素人。大きな間違いを平気で書き、それを記者上がりの素人が添削し、新潮社の世界の実態を知らない編集者が取り上げ、いかにもお互いが国内の資源と国民の健康を守る守護神であるかのように立ち振る舞っている茶番。
消費者が勉強して書いた体験本には素晴らしいものがある。しかし、プロであるはずの設計士や業者の、この手の技術を無視した自己PR出版物があまりにも多い。まがいものに対して、住宅業界がエリを正して抗議し、排除してゆく努力をやっていない。このため、後から後から同じような恥知らずな出版物が続く。論評に値しない駄作だが、判断材料を持たない消費者に間違えた先入観を与える。薬にならないのは良いが流される毒には我慢が出来ない。したがって気乗りのしない作業だが、この毒書の基本的な間違いだけは指摘しておかねばならない」。


●「環境」と「通風」の大合唱の意味について
 ところで、家づくりは住み心地を目的とすべきです。上質な住み心地は、「構造」「断熱の方法」「依頼先」という三つの選択のどれか一つでも誤ったら絶対に得られません。大手ハウスメーカーのほとんどは、選択を間違えているのでそれを実現できないでいます。
 そこで、住み心地という土俵に上がることを避け、各社揃って「環境共生」を合唱し、「サスティナブル」をキーワードにしたのです。しかし、それらの対極にあるのが大量生産販売であることは紛れもない事実です。
 宣伝文句には、往々にして売る側の都合が隠されているものです。
 その典型が積水ハウスの「環境にいい家は、環境のいい家になる」との広告です。さらに「その家も、その環境も、積水ハウスの品質です」と空疎な主張の拡大は止まるところがありません。なんとしても、住み心地を問われることを避けたいようです。
 住友林業は、「社有林+木造住宅+環境共生住宅」という図式は住友林業にしか描けないと誇らしげに主張しています。
 注目すべきは、カネカの産業財産権である「温房・涼房」の概念をそつくり利用していることです。「真似事であっても声高に叫んだ方が勝ち」を地で行くやり方です。
 「エコ診断カルテ」や「通風シミューレーション」といったツールを用意して、「本家本元は住林にあり」と言わんばかりに営業展開しています。
 最近では「風を設計する」という「風の設計相談会イベント」を実施しています。
 中気密・中断熱がスタンダードで、次世代省エネ適合は予算次第、住み心地の保証はしない、いや、できない。となれば、通風でお茶を濁しておくしかないのでしょうが、窓を閉め切ったときにはどうなるのか心配になります。
 それに似たものが旭ヘーベルの「太陽と風の家」というPRです。
「日照・通風シミュレーションソフトARIOS(アリオス)でその敷地における季節毎・時間毎の日当たりと風通しをシミュレートし、都市の中でも太陽と風をあきらめない最適な間取りプランをご提案しています」と。
 
 それらの大手ハウスメーカーは、こぞって住み心地を棚上げにして、環境の守護神となり、風通しに頼る家造りに転換しました。言い換えれば、家造りで一番大切にすべきことを、「環境」とか「太陽」とか「風」に摩り替えたのです。
 そして、「広告に勝ったものが、市場を制する!」を合言葉に、美辞麗句の競い合いをエスカレートさせる一方です。そこに、「安さこそが正義だ!」と叫んで年間50億円(推定)もの大金を惜しげもなく投入するタマホームが加わり、住宅市場は広告大合戦の様相を呈しています。
 各社とも広告費が増大した分を取り戻すために、家造りの中身とデザインを省略化し、単純化せざるを得ず、それを「シンプル・イズ・ベスト」、「都市型住宅」などと美化しています。しかしながら、構造も断熱の方法も、品質も従来と同じでありながら、広告の仕方を変えて、いかにも「いい家」であるかのように訴えるやり方は一種のだましです。
 それだけに、住む人の幸せを心から願う正直な造り手を知ることができる当サイトの存在価値が、ますます増すものと確信します。
 皆様が無事「いい家」にたどり着かれますことを、心から願っています。
 すでにお住まいの皆様には、新年がご一家にとってさらにすばらしい年となりますよう、心からお祈り申し上げます。

2007年元旦
松井 修三

 

 

 

BOOK
さらに「いい家」を求めて/久保田紀子著 「いい家」が欲しい。/松井修三著
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